原子単位[atomic unit]
定義
換算プランク定数、電子質量、素電荷、クーロン定数が1となる単位系のこと。原子単位を使えば、時間依存シュレーディンガー方程式に含まれる係数を簡略化できる。
東京大学大学院工学系研究科 原子力国際専攻
東京大学大学院工学系研究科 光量子科学研究センター・物理工学専攻
石川研究室が、原子力や光量子科学に関連する基礎用語から最先端の専門用語までを解説する用語集です。
換算プランク定数、電子質量、素電荷、クーロン定数が1となる単位系のこと。原子単位を使えば、時間依存シュレーディンガー方程式に含まれる係数を簡略化できる。
最外殻の1つの電子のみが実効ポテンシャルを感じながら運動し、他の電子の波動関数は凍結されていると考える近似。他の電子の効果は実効ポテンシャルとしてのみ取り入れられる。トンネルイオン化レートは、イオン化ポテンシャルの増加にともなって急激に小さくなることから、高強度場現象を考える際にはしばしば有効は近似である。
1994年にLewensteinらが提出した高次高調波発生の量子力学的な理論。時間依存シュレーディンガー方程式から出発して、高強度場近似を適用することで、3ステップモデルやカットオフ則に量子力学的な裏付けを与える。
高次高調波発生の3ステップモデル、Lewensteinモデルで、トンネルイオン化から再結合までの間に電子がとる経路のこと。
高次高調波のカットオフエネルギーEcは、ポンデロモーティブエネルギーUpと標的原子のイオン化エネルギーIpを用いて、Ec=3.17Up+Ipという簡単な式で表される。これをカットオフ則と呼ぶ。
高次高調波発生のメカニズムを説明する、半古典的なモデル。トンネルイオン化、古典力学的振動運動、再結合(再衝突)の3ステップからなり、高次高調波発生や高次超閾電離、非逐次二重電離などの多くの側面を説明できる。
高次高調波発生のスペクトルは、プラトー領域の後、ある次数で突然強度落ち、それ以上の次数の高調波は実質発生しない。この突然強度が落ちる部分を、カットオフと呼ぶ。
摂動論的な高調波発生とは異なり、高次高調波のスペクトルには、次数が上がっても強度が落ちない領域がある。これをプラトー領域と呼ぶ。
高強度のレーザー場中における原子や分子の挙動を考える際に、励起束縛状態からの寄与と、イオン化で原子や分子から放出された電子に対する親イオンからのクーロン力を無視する近似。
Ammosov, Delone, Krainovの3人によって導出された、トンネルイオン化のレートを見積もるための公式。